脱毛を活用するテクニック

エイズ患者に近づき握手することさえ危ないといわれた。
ダイオキシン騒動もエイズに似ていないのだろうか。
ダイオキシンが危険というなら現実にはタバコの方がよほど危険なのではないか。
しかもタバコの発がん性の証拠は国際的に十分認知されたものである。
にもかかわらずタバコの害が一向に騒がれないのはどうしたことか。
国立環境研究所のM博士はとくにこの方面にくわしいおひとりだが、ダイオキシンの現実の発がん性は最大限にみてもタバコ以下ではないかと発言している。
Y、Iの両博士がウサギの耳に根気よくコールタールを塗りスづけて遂に成功した世界初の人工発がんはあまりに有名だが、その当時「胃がんの寄生虫説」というのがあった。
胃がんの原因は寄生虫であるとした研究で、デンマークのF博士が一九二六年にノーベル賞をもらったのである。
だがその後この仕事は間違いとわかって、栄光のノーベル賞の汚点とまで言われた。
一九五〇年代になって、日本癌学会でがんの細菌説の発表があってびっくりしたことがある。
びっくりしたというよりは、なんと古めかしい考えをいまさらのように持ち出してきたのかという、半ばあきれた気持ちでもあった。
というのはその頃すでに、マウスなどの小動物の乳がんウイルスが発見され、引き続きポリオーマウイルス、白血病ウイルスなどのがんウイルスが相次いで発見されて、ヒトのがんのウイルス説がもっともらしくみえてきた頃だったからである。
ところが最近、今までほとんど振りむきもされなかったがんの細菌説がにわかに注目されるようになった。
ヘリコバクターピロリ菌が発見されたからである。
このピロリ菌の感染率はわが国で高く、胃炎、粘膜萎縮、異形成、潰瘍、胃がんの原因として強く疑われるようになった。
胃潰瘍の主な原因は今まではストレスといわれ、その治療には制酸剤が使われたりしたが、最近はクラリスロマイシンなどの抗生物質を使って胃内からまず細菌を除く(除菌する)ことが大切と考えられるようになった。
最近はさらに口腔内連鎖球菌の一つストレプトコッカス―アンギノサスが食道がんの原因ではないかといわれる。
むかしから北アフリカ(とくにエジプト)から西アジアにかけて膀胱がんが多いが、これが住血吸虫という寄生虫の感染によることが最近わかってきた。
さらにタイ北部(一部シベリアでも)に多発する胆管がんはある種の肝吸虫類(ヒル)によって起こることもわかってきて、ここであらためてF博士の寄生虫説が思い出されたのである。
同博士の胃がん寄生虫説は間違っていたのだが、寄生虫がある種の臓器のがんを起こしうることが実証されたことにはなる。
だからF氏の仕事は全面的に間違っていたことにはならない。
このように時代の変遷とともに、次第に解明されてきたのは、がんの臓器別の違いがあるにしても、がんは「ウイルス」によって起こるだけでなく、「細菌」によっても、また「寄生虫」によっても起こり得るということである。
右の三つの起因体は本来お互いに無縁で、大きさも実態も全くかけはなれた存在である。
それでは何かこの三つのものをがんにつなぐかというと、そこで考えられたのがそれぞれの因子によって起こる感染の結果としての「炎症」ではないかということである。
つまり「炎症」こそが三つのものとがんとを結びつける共通の因子ということになる。
英国のD博士らはすべてのがんの原因のうち約一〇パーセントはウイルス、細菌などによる慢性炎症であると考えている(次ページの図)。
この一〇パーセントの中にはB、C型肝炎ウイルス、EBウイルス、HTLV、パピローマウイルスなども入ってはいるが、一方に発がん性に直接関係のない起因体による非特異的な「慢性の炎症」ががん化を促進するとして注目されている。
たとえば実験的にネズミの背中に植え込まれたビーズ玉によって局所に炎症を作っておくと血管腫ができたり、ときに血管肉腫もできるというアメリカのZ博士、K大のT博士らの研究があった。
ある系統のマウスの腹腔内に鉱物油を注入することによって白血球浸潤を起こした後、形質細胞腫(がんの一種)ができるというP博士らの仕事もあった。
最近、がんになりきっていない3T3といわれる前がん状態の細胞を試験管内で培養して、これに穎粒球(好中球)を加え試験管内に人工的な炎症を起こすだけで細胞はがん化するというH博士の研究など、炎症とがんについてはたくさんの報告がある。
先に述べた肝炎ウイルスによる肝がんもウイルス(肝がんウイルスといってもよい)そのものによって起こるというよりも、むしろウイルスによって起きた慢性の炎症が遷延化し、そこから放出される活性酸素の長期の刺激によってがんが発生するらしいといわれている。
実験動物の発がん率について調べると、病原菌の見られない飼育室で飼育したSPFといわれる状態の動物よりも、細菌感染の見られる普通の飼育室で飼育した普通の動物のほうに高い傾向がある。
これらも炎症とがんとの関係を示唆したものである。
臨床的にも膿胸(胸腔内の化膿性の炎症でうみのたまった状態)のあとにB細胞リンパ腫が発生しやすいとか、間質性肺炎(線維の増殖を起こして線維症になることがある肺炎の一種)や肺線維症のあとに肺がんが発生しやすいことが知られている。
ピロリ菌による慢性胃炎のあとにできやすい胃がんもそうである。
それでは逆に炎症を抑えたらがんは減るのだろうか。
そのとおりである。
最近、たとえば非ステロイド系の抗炎症剤は大腸がんの発生を抑えることができる。
逆にがんが出てきた結果、がん細胞が産生するサイトカイン(細胞が分泌する化学物質)によって炎症が起きることもある。
だからがんの進行によって血液中に白血球が増加したり、発熱を見たりすることもある。
また炎症があるとがんはますます悪くなっていく。
「炎症」と「がん」はもともと無縁のようにみえながら、炎症はがんができる前にはがんをつくる原因として働き、がんができたあとにはその結果として炎症が生ずる。
両者にいろいろ深い関係があることは確かである。
がんの原因に占める感染症・炎症の役割はおよそ一〇パーセントであるが、これは欧米など先進国の人達について算出された数値である。
発展途上国では感染症・炎症はがんの原因の一○パーセント以上(ときに三〇パーセント)を占めるといわれる。
なぜこんなに高いのだろうか。
理由は簡単である。
発展途上国では衛生状態が悪く、ウイルス・細菌などの感染にひきつづく炎症によって起こるがんが非常に多いからである。
たとえばB型肝炎ウイルスによる肝がんは中国からアフリカに多い。
パピローマウイルスなどの感染症にひきつづく子宮がんもアジア、アフリカ、中南米に多い。
EBウイルスによるバーキットリンパ腫や鼻咽頭がんもアフリカ、一部アジア地域に特有のものである。
ピロリ菌感染によると疑われている胃がんも日本を含めアジア、中南米に多い。
いずれも感染症・炎症によって起こるがんである。
パピローマウイルスは性交渉による感染が多く、EBウイルスは母親の唾液からの感染によることが多いが、劣悪な衛生状態のもとではこれらの感染による炎症は増悪し慢性化して、結果的にがん発生を促進する。
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